森林土木

森林土木分野では、土石流、がけ崩れ、地すべり、落石を対象とした治山全体計画から施設設計まで対応致します。また、荒廃森林調査を基に健全な森林環境整備を目標とした森林整備計画も策定します。現在、専門技術者の拡充を図っており、森林環境改善の一助となるよう尽力致します。

治山計画・設計

森林環境の整備や土砂流出防止を目的として、山間部の治山全体計画を策定し、個別施設について設計を行います。砂防と同様の対策が多いですが、森林保全を目的としている点が異なります。しかしながら、H30年西日本豪雨災害では土石流により治山ダムが損傷する事例が見られ、最近では下流域の保全対象を考慮した土石流対応型治山ダムの設置も進んでいます。コンパクトな流域治水対策として、治山と砂防が連携して土砂流出を防ぐことが望まれます。

全体計画図サンプル

全体計画図サンプル

保安林流域内の荒廃状況について調査を行い、土砂流出防止を目的とした治山ダム及び健全な森林育成のための森林整備を計画し治山全体計画としてとりまとめます。

土石流対応型治山ダム

設計事例
土石流対応型治山ダム

地すべり土塊が土石流化することを想定して、土石流対応の治山ダムを設計しました。H30災害以降に土石流対応型治山ダムの設計基準が示されましたが、事例はそれ以前の実績です。
砂防治山連携した治山ダム

設計事例
土石流対応型治山ダム

谷出口から上流は治山、下流は砂防で個別に対策を講じていましたが、土砂法レッドゾーンが広範囲に指定されたため、砂防治山連携事業として安全性向上に取り組みました。砂防部局、治山部局と当社の3者で協議を重ね、砂防基準に則った治山ダム(部分透過型堰堤)を設計しました。
エネルギー吸収型落石防護柵工

設計事例
エネルギー吸収型落石防護柵工

斜面直下に家屋が連坦する保安林地において、予防治山として落石対策工の設計を行いました。通常の落石調査~対策工設計だけでなく、森林整備の基本方針を踏まえた整備優先順位まで設定しました。
森林環境に配慮した斜面対策工

設計事例
森林環境に配慮した斜面対策工

歴史的風土特別保存地区に指定されている地区において、森林環境に配慮した自然斜面地山補強土工を設計しました。写真は施工直後ですが、現在は植生で覆われ自然斜面に帰っています。

森林整備計画

健全な森林環境を整備することにより、水源かん養や土砂流出防備のみならずレクリエーションや景観等、様々な効果が期待できます。しかしながら、国土の約7割を占める森林に対して、森林環境の整備は追い付いていません。今後、森林環境税を財源とした森林整備の促進が期待され、森林調査や整備計画の策定が急務となっています。

荒廃森林調査と傾斜区分図から森林荒廃タイプに分類し、森林整備方針を決定します。荒廃森林調査では、樹種、樹高、密度、下層植生、土壌等について現地調査を行います。整備方針に応じて、本数調整伐、受光伐といった間伐と丸太筋工等の緑化基礎工を組み合わせて森林整備計画を策定します。
林内の光環境は下層植生の生育に大きな影響を及ぼします。林内照度を把握する手法として、林内・林外で照度を計測する相対照度がありますが、同時計測が難しい場合は、魚眼レンズで撮影した全天空写真から開空度を算定して代用することもあります。
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