海岸・海洋

海岸施設の計画・設計

海岸保全施設は、近年の異常気象を起因とする台風、高潮被害や近い将来、発生が予見される巨大地震や津波被害などから「国民の人命や財産を守る」役割があります。

当社では、それらに対して背後地の「人命や財産を守る」ため、防波堤・護岸・堤防などの海岸施設の計画、設計を実施しています。

津波から背後地を守る防潮堤の整備

海岸護岸は、高潮、波による越波や打ち上げ、津波から背後地を守るために必要な高さで整備します。写真は、宮城県の気仙沼漁港大浦地区で整備中の防潮堤ですが、想定する津波の高さが高いため、巨大な擁壁になることがあります。

長寿命化計画の策定

近年、社会資本の老朽化に係る問題が顕在しており、海岸分野においても、整備後の経過年数が長期化した施設が急激に増加しています。海岸保全施設を適切に維持管理していくため、施設の老朽化調査や健全性の評価を行い、長寿命化計画を策定しています。

護岸のひび割れ調査(左)とドローンの飛行状況(右)

主要な点検・調査

  • 目視調査(陸上・海上・潜水)
  • 変状調査
  • 空洞化調査
  • 鋼材の調査(防食電位測定、肉厚測定等)
  • コンクリート試験
  • 新技術を活用した調査(UAV、水中ドローン等)

ドローンを用いた消波ブロックの点検調査(30m上空より撮影)

長寿命化計画の策定

点検・調査結果に基づき、変状ランクの評価及び健全度評価を行います。さらに、補修工法の検討、LCC比較等を行い、長寿命化計画を策定しています。

洋上風力発電施設の設計

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて大量導入が見込まれている洋上風力発電施設の計画・設計を行っています。

洋上風力発電施設

洋上風力発電施設のうち、主に風車基礎(モノパイル)、附帯設備、洗堀防止工等の設計を行っています。

構造解析ソフト(SESAM)による応力変形解析

風車基礎の設計では、専用の構造解析ソフト(SESAM)を用いてモノパイルに発生する応力や変形を検討しています。

研究・開発(改良型護岸の研究等)

気候変動による海面上昇や波力増大などの影響を踏まえた、護岸改良方法について、CADMAS-SURFを用いた設計法を研究しています。

CADMAS-SURFによる計算例(消波ブロック被覆堤の越波)

令和3年7月に「海岸保全施設の技術上の基準・同解説」が一部改訂され、今後の海岸保全施設の設計において、気候変動による影響を設計条件に加味することが必須となりました。そのため、護岸改良には厳しい要求性能が求められることになります。数値波動水槽(CADMAS-SURF)は、従来の水理模型実験に代わりえる手法として、海域施設の耐波設計への適用を目的に開発されました。特に、従来の設計公式や検討手法の適用が難しい場合に有用となります。

浸水対策として期待されている二重パラペット護岸等を対象に、数値波動水槽(CADMAS-SURF)を用いた設計手法の研究をしています。従来の設計公式の適用が難しい場合は、水理模型実験を行うのが一般的ですが、時間と費用を要します。そのため、CADMAS-SURFを用いた設計ができれば設計の省力化になります。

また、当社には社外への研究員派遣制度があり、沿岸部門としてはこれまでに、港湾空港技術研究所、国土技術政策総合研究所、水産工学研究所に技術職員を派遣しています。

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