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フォーラム「鳥取発!都市と地方の共存に向けた地域政策の方向性」開催結果のご報告

~フォーラム開催結果のご報告~

多くの方々にお越し頂き,盛況のうちに終わることが出来ました.

ありがとうございました.

●フォーラム開催概要

◆主催:鳥取大学持続的過疎社会形成研究プロジェクト
◆開催日時:平成19年9月29日(土) 13:00~15:30
◆開催場所:鳥取県民文化会館 第1会議室
◆参加費:無料(定員190名)
◆プログラム
    13:00~13:10 フォーラム開会のご挨拶
    13:10~13:40 基調講演「地方の自立と高速道路整備」
    13:40~13:50 休憩
    13:50~14:20 研究成果の発表「経済シミュレーションモデル「RAEM-Light」による政策評価」
    14:20~15:30 パネルディスカッション「都市と地方の共存に向けた地域政策の方向性」
◆お問い合わせ先 総合計画部 交通計画課 竹葉,佐藤 TEL(直通)082-506-1853
 ※詳しくは、こちら(PDF:0.7MB)

●フォーラム参加状況

当日のプログラム・パネリストのご略歴はこちら↓をご覧ください.
プログラム・パネリストのご略歴(PDF:0.1MB)

●フォーラム開会のご挨拶

細井由彦教授(鳥取大学工学部社会開発システム工学科,持続的過疎社会形成研究プロジェクト代表)からフォーラム開会のご挨拶をして頂きました.

●基調講演「地方の自立と高速道路整備」

片山善博教授(慶応義塾大学大学院,前鳥取県知事)より基調講演をして頂きました.
講演用レジュメはこちら↓をご覧ください.
  基調講演「地方の自立と高速道路整備」レジュメ(PDF:0.1MB)

●研究成果の発表「経済シミュレーションモデル「RAEM-Light」による政策評価」

小池淳司准教授(鳥取大学工学部社会開発システム工学科,持続的過疎社会形成研究プロジェクトメンバー)より,復建調査設計株式会社との共同研究成果の発表をして頂きました.
発表用PPT資料はこちら↓をご覧ください.
  研究成果「経済シミュレーションモデル「RAEM-Light」による政策評価」発表用((PDF:2.4MB)

※なお,分析結果の詳細につきましては,下記までお問い合わせください.
 TEL:082-506-1853(担当:総合計画部 地域経済分析グループ 佐藤)

●パネルディスカッション「都市と地方の共存に向けた地域政策の方向性」

下記のメンバーでパネルディスカッションをして頂きました.

■司会
・喜多秀行教授
(神戸大学大学院工学研究科市民工学専攻)

■パネリスト
・片山善博教授
(慶應義塾大学大学院,前鳥取県知事)
・小池淳司准教授
(鳥取大学工学部社会開発システム工学科,持続的過疎社会形成研究プロジェクトメンバー)
・田中仁成編集制作局長
(新日本海新聞社)

■主なディスカッション内容

(喜多教授)
・政策判断に対する説明責任(特に.後世に対する説明責任)をはたすためには,科学的アプローチは非常に重要である.
・社会経済は,山・川・海などの自然条件(第1の自然:first nature)に影響を受けるだけでなく,道路整備などの社会基盤条件(第2の自然:second nature)からも非常に多くの影響を受ける.
・全国総合開発計画による太平洋ベルト地帯への道路整備充実化などにより,日本の国力はあがったものの,短期的整備を求められたため,整備を待たされる地域が存在しているのは事実であり,一方で早く整備された地域が発展しているのも事実である.このような状況を具体的に数字で示すことは,現状を把握するために非常に重要な手段である.
・かみあわない議論は,お互いの論理の違いだけでなく,論理の前提条件が違うことがある.そのような際に,RAEM-Lightなどの科学的アプローチを活用することで,前提条件を明確にした議論が出来るのではないだろうか.
・鳥取県の高速道路整備を訴えていくためには,短期的評価ではなく,長期的評価(道路ネットワークとしての評価)をきちんと問うことが必要である.そのような際にRAEM-Lightのような分析は分かりやすいのではないかと思う.
・日本社会は,政策をきちんと評価する機能が弱い.現在は,政策当事者による評価しか聞けないという危うさがある.今後は,第三者評価が必要である.第三者評価の役割を期待したい機関は,地域のマスコミである.その際,専門的な分析は,大学やコンサルタントに任せるなどが必要である.
・地域のマスコミは,社会的な記憶装置の役割があるのではないか.後世において,過去の政策をきちんと評価することが求められている.
・マスコミのほかに,住民が自ら政策を評価することも重要であるが,評価のためのお金・予算がない.行政から住民側にそのような予算をつけるのもひとつの手段ではないか.

(片山教授)
・研究成果で発表された「RAEM-Light」に対する率直な感想は,「もっと早く知っていれば,議会などで事業の必要性を論理的に説明するためのツールとして使えた」である.このような科学的アプローチを活用することにより,合理的な判断が可能になる.
・日本の過去の高速道路行政を振り返ると,公正ではなかった.知事時代に,なぜ不公正であるかを論理的に説明しようとしたが難しかった.その際にRAEM-Lightによるシミュレーション結果があれば,論理的に充実した説明が出来たと思う.
・大学の研究成果を,政治や行政はもっと重要視すべきである.ただし,シミュレーションモデルなどの複雑なモデルを活用する際は,分かってもらってはじめて効果があるため,モデルの前提条件を明確にし,前提条件が常識的で合理的であるかについて議論する必要がある.
・議会などで相手を説得させるための手段は,「笑い」,「具体事例」,「論理性」である.これに科学的な証明が加われば,非常に強い論理構築が出来る
・現在の議会では,結果ありきの議論のため,シミュレーションのような科学的アプローチを受け入れる素地がない.受け入れるためには,議会改革が必要である.
・科学的思考とは,様々なサーベイを用いて分析した結果,結論を導くことを示すが,行政は結果ありきで物事を進めているため,科学的思考が重視されていない.
・現在は,行政に対する公正で客観的なチェック機能が働いていない.チェックされるためにも,情報公開をして,出来るだけ多くの人に客観的なチェックしてもらう必要がある.
・マスコミは,政策評価に対するチェック機能の役割を担っている.現在の新聞記事には,行政の政策判断などに対する分析・評価が掲載されていない.マスコミは,行政の記者発表を掲載するだけでなく,反対派の人の分析・評価結果を掲載するなどして,政策判断の是非を徹底的に討論する場を提供すべきである.

(小池准教授)
・政策決定に携わる方は,非常に深い論理を持っている.そのような論理を支援するためにも,シミュレーションなどによる科学的な数値がもつ意味が非常に大きい.
・当然,政策評価にあたっては,RAEM-Lightなどのシミュレーションで分析された結果の数字がすべてではない.仮に,計算結果だけで政策判断が出来れば,行政や政治は必要ないということになる.計算結果を踏まえて,行政としてどのように判断するか,市民と十分に議論して判断することが重要である.
・経済シミュレーションは,前提条件によって結果が左右されるため,ひとつの案に対する絶対的な評価をするのではなく,代替案を比較するような相対的な評価をするのに適している.例えば,RAEM-Lightの分析結果でも示したように,ケース別の道路ネットワーク評価などを行う際に非常によく機能する.
・オランダでは,まず,行政が政策の目的を決める(例えば都市間を●分でつなぐなど).その後,目的を実現するための手段の選択を行うが,その際には行政は関与しないシステムになっている.手段の選択にあたって,RAEM-Lightなどの経済シミュレーションを活用することにより科学的な分析が行われている.例えば,オランダの新聞では,政策実施の賛成派の分析結果と反対派の分析結果を掲載するなどして,非常に深く議論されていて分かりやすい.外国のものがすべて良いというわけではないが,見習うべき点が多くあるように思う.
・経済シミュレーションのような難しいモデルは,「分からない」という指摘が世界中で言われていることである.モデル自体の信頼性については,学会などで十分議論される必要がある.また,一般的に公表した際に,分からない点等があれば,積極的に聞いていただければと思う.
・政策判断の際にキーポイントとなるのは,個人の問題と社会の問題をどのように考えるかである.得する人も損する人もいる中で,社会として最適な意思決定とはどのようなものであるかについて議論する必要がある.

(田中局長)
・地域が自立し,ふるさとを守るためにも高速道路整備が必要であるという認識は,県民に共通していると思う.
・高速道路は,つくることが目的ではなく,道路を使って何をするのか?どう活かしていくのか?が重要であり,そのあたりを,市民レベルで考えていく必要がある.具体的には,都市と地方の相互の地域ニーズを正確に把握することで,高速道路をどのように活用するかを明確にすべきである.
・例えば,民間・市民レベルでは,都市はどのような食,癒しの提供を望んでいるのか?鳥取はそのようなニーズに対してどのようなサービスを提供できるのか?などを真剣に考えることで,高速道路の活用方策を検討すべきである.一方,行政レベルでは,企業誘致など地域経済の活力につながる取り組みを真剣に考える必要がある
・これまでの新聞記事の中には,科学的アプローチによる政策評価などは無かった.マスコミには,行政が何を優先して政策を実施するのかを分かりやすく説明する責任がある.大学の先生,県民と悩みながら紙面を作成していくことを模索していかなければいけないように思う.
・まちづくりでも,高速道路整備でも,地域の自立について,意見をとりまとめて,全体をマネジメントする人が必要である.これは行政ではなく,マスコミや民間組織がそのような役割を果たさなければいけない.
・目指す方向が皆同じであったような20年,30年前の時代とは違い,現在のようなニーズが多様化した社会の中では,新聞のつくりかたをよく考えていく必要がある.

●参加者アンケート結果

Q1:持続的過疎社会形成研究プロジェクトの主旨についてどう思われますか?(N=68)

Q2:持続的過疎社会形成研究プロジェクトでは,今後も引き続き今回のようなフォーラムを実施する予定でいます.今後,取り上げるべき課題等ございましたら,ご記入ください.(複数回答)

Q3:本日のフォーラム内でご紹介しました経済シミュレーションモデル「RAEM-Light」の有効性について,どのように思われますか?メリット・デメリット・改善すべき問題点などございましたら,ご記入ください.(N=68)

なお,本フォーラムの全議事録はこちら↓をご覧ください.
全議事録(PDF:0.6MB)

※持続的過疎社会形成研究プロジェクトに関する詳細は,こちら↓のHPをご覧ください.
http://www.rprs.net/

●お問い合わせ先

総合計画部 交通計画課 竹葉,佐藤 TEL(直通)082-506-1853

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