東京大学復興デザイン研究体 講座開設10周年記念事業「災間を生きる都市づくりセミナー」開催報告
令和7年1月27日
復建調査設計株式会社
■リレートーク「災間を生きる都市の今」の一コマ
東日本大震災からの福島復興に関する井本准教授と羽藤教授の意見交換
1. 開催概要
東京大学復興デザイン研究体(以下、「研究体」という。)は、2014年より当社とアジア航測株式会社の支援のもと、社会連携講座として本格的に活動を始動し、このたび講座開設10周年を迎えたことを記念して、「災間を生きる都市づくりセミナー」を開催しました。
セミナー当日は、研究体がこれまで全国の被災地の復興事業に携わってきた足跡をたどる「復興デザインツアー」、並びに主催3社(東京大学、アジア航測株式会社、当社)の取組みや様々な技術を紹介する「復興デザイン展」を同時開催しました。
2. 開催結果
2.1 復興デザインツアー
復興デザインツアーは下記2コースを回り、研究体の当時の取組みや復興まちづくりの現状を視察しました。
①広島コース:平成26年8月豪雨災害で被災した広島市安佐南区八木地区
②呉コース :平成30年7月西日本豪雨で被災した呉市天応地区
実施状況 | ||||
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①広島コース | ■バスの中でのイントロダクション | ■セッション | ■現地踏査 | |
移動のバスの中では羽藤教授(研究体)より研究体の活動の概要を報告 |
松井副館長(広島市豪雨災害伝承館)より報告された~復興までの10年を振り返って~を聴講する様子 |
広島市豪雨災害伝承館にて当時の被害状況や復興の記録を学ぶ様子 |
松井副館長(広島市豪雨災害伝承館)から砂防事業(鳥越川堰堤)の説明を受ける様子 |
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②呉コース | ■バスの中でのイントロダクション | ■セッション | ■現地踏査 | |
移動のバスの中では西日本豪雨災害の呉市被害の状況を報告 |
セッション開始時には新原市長に出迎えて頂き歓迎の挨拶を頂く |
萩原准教授(名城大学)より報告された~復興デザイン研究体の取組み~を聴講する様子 |
中国地方整備局西部山系砂防事務所ご担当者様から砂防事業(大屋大川遊砂池)の説明を受ける様子 |
2.2 災間を生きる都市づくりセミナー
開催日時 | 2024年12月25日(水)13時30分~17時30分 |
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主 催 | 東京大学復興デザイン研究体、アジア航測株式会社、復建調査設計株式会社 |
後 援 | 広島テレビ株式会社 |
場 所 | 広島コンベンションホール(広島東区二葉の里3丁目5-4広テレビル) |
対 象 | 防災・復興・都市計画などの分野に関わる行政関係者 |
《セミナープログラム》プログラムの講演資料は下表よりダウンロードが可能です。
演目等 | 発表者 | |||
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①基調講演 | 「復興の現状と研究体への期待」 | 講演資料(pdf) | 元国土交通省 大臣官房技術審議官 | 菊池 雅彦 氏 |
②リレートーク「災間を生きる都市の今」 | コーディネーター | 東京大学復興デザイン研究体 教授 | 羽藤 英二 氏 | |
福島復興(2011) | 講演資料(pdf) | 日本女子大学建築デザイン学部 准教授 | 井本 佐保里 氏 | |
能登半島地震(2024) | 講演資料(pdf) | 東京大学大学院工学系研究科 助教 | 中尾 俊介 氏 | |
西日本豪雨災害(2018) | 呉市復興総室 副総室長 | 池田 英樹 氏 | ||
熊本地震(2016) | 講演資料(pdf) | 東京大学大学院工学系研究科 助教 | 渡邉 萌 氏 | |
東日本大震災(2011) | 講演資料(pdf) | 復建調査設計株式会社 | 佐藤 啓輔 吉野 大介 |
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③パネルディスカッション「災間の今、必要なこと」 | コーディネーター | 東京大学復興デザイン研究体 教授 | 羽藤 英二 氏 | |
パネリスト | 元国土交通省 大臣官房技術審議官 | 菊池 雅彦 氏 | ||
日本女子大学建築デザイン学部 准教授 | 井本 佐保里 氏 | |||
筑波大学システム情報系社会工学域 准教授 |
浦田 淳司 氏 | |||
東京大学大学院工学系研究科 | 松永 隆宏 氏 | |||
復建調査設計株式会社 | 山根 啓典 |
◆開会
【開会挨拶】
東京大学復興デザイン研究体 教授 羽藤 英二会場の様子
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まず、基調講演として元国土交通省 大臣官房技術審議官の菊池様より、ご講演をいただきました。
菊池様からは、我が国で過去生じた大災害からの教訓として、平時から復興まちづくりのための事前準備を進めることの重要性を講演頂きました。
また、復興を考える4つのポイントとして「手順:復興のプロセス」と「目標:将来への対応」を「地域」と「人」の観点で考えることについてご助言いただきました。
結びとして、研究体への期待を述べていただきました。
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リレートークは、「災間を生きる都市の今」と題して、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、2018年の西日本豪雨災害、2024年能登半島地震を取り上げ、研究体と共に、復興事業へ取り組んできた方々をお招きし、当時の状況やエピソードをご紹介いただくとともに、現在の地域の状況などについてお話しいただきました。
①福島復興(2011)
福島復興は、日本女子大学の井本准教授よりお話しをいただきました。東日本大震災後に避難された方々の居住地の軌跡を辿るとともに、復興の足がかりとしてもともと居住していた既存の土地や建物の重要性について説明いただきました。
②能登半島地震(2024)
能登半藤地震は、東京大学の中尾助教よりお話しをいただきました。能登半島地震では建物倒壊、大規模な火災等、様々な事象が生じた中において、半島のもつ島嶼性、内湾の連携、海峡の可能性、これらは能登半島の復興と地域の今後を考える際、どうポジティブに活かせるのか等について説明いただきました。
③西日本豪雨災害(2018)
西日本豪雨災害は、呉市復興総室の池田副総室長よりお話しをいただきました。西日本豪雨災害発生時における呉市の対応状況や、研究体からの助言やサポート等を復興計画に盛り込んだ個別事業等について説明いただきました。
④熊本地震(2016)
熊本地震は、東京大学の渡邉助教よりお話し頂きました。熊本地震発生後の仮設住宅への聞き取り調査を学生の際に実施されたことや、生活再建に向けて「本当の悩みを吐き出す場」等が必要であることをご説明頂きました。
⑤東日本大震災(2011)
東日本大震災は、当社の佐藤・吉野より説明しました。陸前高田市でのデマンド交通立上げの支援、また、陸前高田市立高田東中学校・気仙小学校の設計施工に係る事業者選定支援について説明しました。
パネルディスカッションでは、「災間の今、必要なこと」と題し、それぞれ所属や立場の異なる6人の方々に登壇頂き、ディスカッションをしていただきました。
◆閉会
【閉会挨拶】
復建調査設計株式会社 代表取締役社長 藤井 照久
2.3 復興デザイン展
セミナー参加者や民間企業等、たくさんの方に来場頂きました。各展示ブースでは多くの方が足を止めて立ち寄り、説明に耳を傾けていました。
- 出展者① 東京大学 :過去、研究体が製作した広島豪雨災害に係る地域の模型等を展示・紹介
- 出展者② アジア航測(株) :被災地の空中写真や西日本豪雨災害における呉市と広島市八木地区の赤色パネル等を展示・紹介
- 出展者③ 広島テレビ :みんなで防災プロジェクトを展示・紹介
- 出展者④ 当社 :ドライビングシミュレータや橋梁点検遠隔臨場支援技術等を展示・紹介