弊社が取り組む経済分析
弊社は、2007年より神戸大学大学院工学研究科の小池淳司教授(神戸大学大学院工学研究科HP)を中心に様々な大学・民間会社と連携し社会資本整備に関する経済分析手法の開発と実務への適用に取り組んできました。その中でも代表的な開発モデルであるRAEM-Light(ラーム・ライト)の概要と取り組み状況をご紹介します。
RAEM-Light(ラーム・ライト)とは
RAEM-Lightとは、弊社が事務局を務めるRAEM-Light協議会(2007年創設:RAEM-Light協議会HP)において開発された空間的応用一般均衡(Spatial Computable General Equilibrium : SCGE)モデルの1つです。SCGEモデルの特長は、道路や港湾等の社会資本整備による経済効果として、地域別・産業別の生産変化(企業にとっての効果)および地域別の便益(消費者・国民にとっての効果)をそれぞれ定量的に計測可能な点にあります。中でもRAEM-Lightは、社会資本整備による市町村別の経済効果を計測可能であるとともに、従来は計測困難であった各市町村の観光産業への効果の計測も可能となっている点が特長です。
道路整備を例にRAEM-Lightによる経済効果の計測方法の概略を下図に示します。道路整備による所要時間の短縮が物流コストや移動費用の低減を生み、その影響が地域の企業や消費者に波及することで地域の経済活動がどの程度変化するかを計測する仕組みになっています。
業務・論文実績
弊社は開発メンバーの中心として2007年よりモデル構造・プログラムの開発に携わり、これまでに多くの業務実績および論文実績を有しています。
業務実績
中国地方を中心に全国各地で適用実績を有しています。
中国地方
業務名 | 発注者名 | 年度 |
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令和4年度松江国道事務所管内中海・宍道湖圏域検討業務 | 松江国道事務所 | 2022 |
令和4年度 経済波及効果算出業務 | 民間会社 | 2022 |
令和3年度松江国道事務所管内道路マネジメント業務 | 松江国道事務所 | 2021 |
令和3年度福山河川国道管内道路整備効果検討業務 | 福山河川国道事務所 | 2021 |
令和2年度中国管内幹線道路の役割・機能に関する検討業務 | 中国地方整備局 | 2020 |
広島熊野道路及び安芸灘大橋有料道路の道路整備効果分析業務 | 広島県道路公社 | 2019 |
松江国道管内道路マネジメント業務 | 松江国道事務所 | 2017 |
広島県内の道路整備により発生する経済効果算出等業務 | 広島県 | 2017 |
井桁状高速道路ネットワーク完成に伴う経済効果算出等業務 | 広島県 | 2016 |
中国管内における幹線道路の役割・機能検討業務 | 中国地方整備局 | 2016 |
島根県道路網効果検討業務 | 島根県 | 2015 |
中国管内広域幹線道路整備計画検討業務 | 中国地方整備局 | 2014 |
岡山都市圏道路整備方針検討 | 岡山国道事務所 | 2012 |
中国横断道尾道松江線など高速道路を活用した沿道地域の振興方針調査 | 民間会社 | 2011 |
中国地方物流ネットワーク評価検討業務 | 中国地方整備局 | 2011 |
倉吉管内道路行政マネジメント検討業務 | 倉吉河川国道事務所 | 2011 |
松江国道管内道路事業整備検討業務 | 松江国道事務所 | 2011 |
次世代の高速道路ネットワークの経済波及効果分析業務 | 鳥取大学 | 2011 |
浜田管内高規格道路計画検討業務 | 浜田河川国道事務所 | 2011 |
幹線道路の役割・機能に関する調査検討業務 | 中国地方整備局 | 2010 |
福山管内道路整備効果検討業務 | 福山河川国道事務所 | 2010 |
道路整備にともなう経済波及効果分析業務委託 | 鳥取大学 | 2009 |
三次管内道路マネジメント資料等作成業務 | 三次河川国道事務所 | 2009 |
福山管内道路整備効果検討業務 | 福山河川国道事務所 | 2009 |
倉吉管内道路行政マネジメント検討業務 | 倉吉河川国道事務所 | 2009 |
道路整備効果等検討業務 | 中国地方整備局(道路部) | 2009 |
社会資本整備の効果分析 | 中国地方整備局(企画部) | 2009 |
高規格道路整備に伴う経済波及効果シミュレーション委託 | 鳥取大学 | 2008 |
姫路鳥取線インパクト調査 | 鳥取河川国道事務所 | 2008 |
福山管内道路整備効果検討 | 福山河川国道事務所 | 2008 |
倉吉管内整備効果他検討 | 倉吉河川国道事務所 | 2007 |
三原バイパス・しまなみ海道インパクト調査 | 福山河川国道事務所 | 2007 |
中国地方中長期道路網整備計画検討 | 中国幹線道路調査事務所 | 2007 |
姫路鳥取線インパクト調査 | 鳥取河川国道事務所 | 2006 |
中国地方中長期道路網整備計画検討 | 中国幹線道路調査事務所 | 2006 |
鳥取道路整備検討業務 | 鳥取河川国道事務所 | 2005 |
地域産業構築指針の作成 | 鳥取大学 | 2004 |
四国地方
業務名 | 発注者名 | 年度 |
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道路の整備効果及び広報に関する検討業務 | 四国地方整備局 | 2012 |
道路事業評価手法の検討 | 四国地方整備局 | 2009 |
九州地方
業務名 | 発注者名 | 年度 |
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長崎県内幹線道路整備効果検討業務委託 | 長崎県 | 2010 |
島原中央道路整備効果資料作成 | 雲仙復興事務所 | 2008 |
南九州西回り自動車道事業効果基礎資料作成 | 鹿児島国道事務所 | 2007 |
関東地方
業務名 | 発注者名 | 年度 |
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R4首都圏高規格道路ネットワーク特性分析業務 | 関東地方整備局 | 2022 |
R3新山梨環状道路整備効果検討その他業務 | 甲府河川国道事務所 | 2021 |
R3首都圏道路ネットワーク影響調査検討業務 | 関東地方整備局 | 2021 |
ストック効果の評価モデル構築及び検証補助 | 民間会社 | 2019 |
H30新山梨環状道路整備効果検討その他業務 | 甲府河川国道事務所 | 2018 |
近畿地方
業務名 | 発注者名 | 年度 |
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経済均衡モデルのモデリング方法の相違による結果の比較分析 | 神戸大学 | 2012 |
東北地方
業務名 | 発注者名 | 年度 |
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既往経済モデル(RAEM-Light)を用いた計算処理 | 民間会社 | 2012 |
全国
業務名 | 発注者名 | 年度 |
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権利と効率のストック効果に基づく社会的意思決定方法と実用的なストック効果計測手法の開発 | 国土技術政策総合研究所 | 2022 |
道路整備のストック効果に関する経済分析手法把握調査業務 | 国土技術政策総合研究所 | 2021 |
経済分析手法を用いた高規格幹線道路整備による地域別・産業別経済効果の調査業務 | 国土技術政策総合研究所 | 2020 |
自然災害の影響と防災目的の公共投資の効果の把握に関する調査検討業務 | 国土交通省本省 | 2019 |
経済分析手法を用いた道路整備による地域別・産業別経済効果の調査分析業務 | 国土技術政策総合研究所 | 2019 |
空間的応用一般均衡分析を活用した社会資本整備の帰着ベース効果算定についての調査研究委託 | 民間会社 | 2016 |
空間的応用一般均衡分析を活用した社会資本整備の効果把握に関する基礎的調査検討業務 | 国土交通省本省 | 2016 |
既往経済モデル(RAEM-Light)を用いた計算処理 | 民間会社 | 2009 |
査読付き論文実績(SCGEモデル関連)
著者名 | 論文名 | 掲載誌名 | 年度 |
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Keisuke Sato, Shintaro Katayama and Atsushi Koike | Analysis of Prediction Characteristics of GRP Change by the SCGE Model for the Linkage of Road Development and Regional Industrial Policy | Proceedings for Presentation of WCTR Montreal 2023 | 2023 |
小俣元美,原野崇,佐藤啓輔,横山楓,片山慎太朗,定金乾一郎,小池淳 | 空間的応用一般均衡分析の高規格幹線道路整備の長期ストック効果の年代別考察 | 土木学会論文集,Vol.70,No.7,22-00023 | 2023 |
Tomoki Ishikura and Fuga Yokoyama | Regional economic effects of the Ring Road project in the Greater Tokyo Area: A spatial CGE approach | Papers in Regional Science, 1? 27. https://doi.org/10.1111/pirs.12677 | 2022 |
佐藤啓輔,小池淳司 | SCGEモデルを活用した道路整備のストック効果最大化検討 | 土木学会論文集D3(土木計画学),2020 年 76 巻 2 号 p. 114-127 | 2020 |
石倉智樹, 佐々木武志 | Logit 型空間経済分析モデルにおける基準財価格に関する感度分析 | 土木計画学研究・論文集 第36巻(特集),2019 年 75 巻 5 号 p. I_763-I_769 | 2019 |
Keisuke SATO and Atsushi KOIKE | Armington Elasticities in Multi-Regional Trade for Transport Policy in Japan | Transportation, Knowledge and Space in Urban and Regional Economics-Chapter 7, Edward Elgar publishing | 2018 |
佐藤啓輔, 菊川康彬, 小池淳司 | 交易・物資流動に関する既往統計と企業間取引データの特性比較 | 土木学会論文集D3(土木計画学),Vol. 72 (2016) No. 5 p. I_201-I_211 | 2016 |
Atsushi Koike and Keisuke Sato | Armington Elasticities in the Multi-Regional Trade for the Transport Policy in Japan, Uddevalla Symposium 2014 – Geography of Growth – The Frequency, Nature and Consequences of Entrepreneurship and Innovation in Regions of Varying Density | Revised papers presented at the 17th Uddevalla Symposium2014,12-14June, Uddevalla Sweden, pp.507-pp.521 | 2015 |
佐藤啓輔,吉野大介,小池淳司 | 空間的応用一般均衡モデルを用いた中央アジア内陸国における道路整備の経済効果把握 | 土木学会論文集D3(土木計画学)Vol.70, No.5(土木計画学研究・論文集第31巻), I_229-I_240 | 2014 |
佐藤啓輔,小池淳司 | 空間的応用一般均衡モデルにおける地域間交易モデルの特性分析-Armingtonアプローチと確率型空間価格均衡アプローチ- | 土木学会論文集D3(土木計画学)Vol.70, No.5(土木計画学研究・論文集第31巻), I_173-I_186 | 2014 |
Keisuke SATO and Atsushi KOIKE | Theoretical and Empirical Verification of the Inter-regional Trade Modeling in the Spatial CGE model for Transport Improvements | 13th World Conference on Transportation Research Society (WCTR),Rio de Janeiro, Brazil,July15-18 | 2013 |
佐藤啓輔,小池淳司,川本信秀 | 空間的応用一般均衡モデル「RAEM-Light」を用いた道路・港湾整備の効果分析 | 土木学会論文集D3(土木計画学)Vol.69, No.5,I_283-I_295 | 2013 |
小池淳司・佐藤啓輔 | 交通ネットワーク整備が観光産業の生産活動へ与える空間的影響の把握~鳥取・兵庫県の日本海地域における基礎自治体レベルの観光産業の付加価値推計をふまえた検討~ | 土木学会論文集D3(土木計画学)Vol.68, No.5(土木計画学研究・論文集第29巻),I_349 | 2012 |
Atsushi KOIKE, Lori TAVASSZY, Keisuke SATO and Toshiyuki MONMA | Spatial Incidence of Economic Benefit of Road-Network Investments: Case Studies under the usual and Disaster Scenarios | Journal of Infrastructure Systems, ASCE | 2012 |
Atsushi KOIKE, Kenji HIRAI, Keisuke SATO and Toshiyuki MONMA | Ex-post Evaluation of Expressway Investment in Japan | pp. E7-02153-10, Selected Proceedings of the 12th World Conference on Transport Research Society, ISBN 978-989-96986-1-1 | 2010 |
Atsushi KOIKE, Lori TAVASSZY, Keisuke SATO and Toshiyuki MONMA T., | Spatial Benefit Incidence of Economic Effects of Road Network Investments – Case Studies under the Usual and Disaster Scenarios – | pp.C3-02146, Selected Proceedings of the 12th World Conference on Transport Research Society, ISBN 978-989-96986-1-1 | 2010 |
Atsushi KOIKE, Keisuke SATO and Lori TAVASSZY | The Risk Management Analysis for the Road Maintenance Cost in Japan with SCGE model “RAEM-Light” | Proceedings for Presentation of 89th TRB Annual Meeting | 2010 |
Atsushi KOIKE, Lori TAVASSZY and Keisuke SATO | Spatial Equity Analysis on Expressway Network Development in Japan -Empirical Approach Using the Spatial Computable General Equilibrium Model RAEM-Light-, TRR(Transportation Research Record) | Journal of the Transportation Research Board, Volume 2133/2009, pp46-55 | 2010 |
小池淳司,片山慎太郎,川本信秀 | 空間的応用一般均衡分析における地域細分化による道路整備便益の影響分析 | 土木計画学研究・論文集 Vol.26,pp209 | 2009 |
小池淳司,川本信秀,佐藤啓輔 | 港湾取扱貨物量を明示化した道路ネットワーク評価モデルの構築~応用一般均衡モデル「RAEM-Light」を用いたアプローチ~ | 土木計画学研究・論文集 Vol.26,pp189 | 2009 |
小池淳司,佐藤啓輔,川本信秀 | 空間的応用一般均衡モデル「RAEM-Light」を用いた道路ネットワーク評価~地域間公平性の視点からの実務的アプローチ~ | 土木計画学研究・論文集 Vol.26,pp161 | 2009 |
佐藤啓輔,小池淳司,川本信秀 | 港湾取扱貨物量の変化が中国地方の道路ネットワーク整備効果へ与える影響~東アジアの経済成長を視野に入れた検討~ | IATSS REVIEW. Vol34. No1.June | 2009 |
Atsushi KOIKE, Lori TAVASSZY and Keisuke SATO | Spatial Computable General Equilibrium model “RAEM-Light” for Highway Network Projects in Japan | Proceedings for Presentation of 88th Annual Meeting of Transportation Research Board, DVD | 2009 |
Atsushi KOIKE, Keisuke SATO and Lori TAVASSZY | A Spatial Benefit Incidence Analysis of Highway Network Project | Proceedings of Uddevalla Symposium, pp.457-470 | 2008 |
小池淳司・佐藤啓輔・川本信秀 | 帰着便益分析による道路ネットワーク整備の公平性評価~RAEM-Lightモデルを用いたアプローチ~ | 高速道路と自動車(2008年12月号) | 2008 |
小池淳司・川本信秀 | 集積の経済性を考慮した準動学SCGEモデルによる都市部交通渋滞の影響評価 | 土木計画学研究・論文集,Vol.23,pp.179-186 | 2006 |
小池淳司,佐藤啓輔,右近崇 | 地域産業政策評価のための応用一般均衡分析フレーム | 土木計画学研究・論文集 Vol.21 | 2004 |
最新の活用方法(ストック効果の最大化への活用)
SCGEモデル(RAEM-Light)を用いて既に整備された事業を対象に経済効果を計測し、対象事業の整備前後の現実社会の経済動向と比 較することで、経済効果が発現(顕在化)している地域・産業とそうでない地域・産業を識別し、事業が有するストック効果を最大限に発現させるための方策を検討する際に活用しています。
※本取り組みの詳細は、佐藤・小池(2020)を参照ください。
これまでの取り組み状況
その他の取り組み
RAEM-Lightの他に、弊社では以下の経済分析の技術開発、実務への適用を行っています。詳細は以下「お問い合わせ先」よりお問い合わせください。
- 産業連関分析・地域経済循環構造分析
- 統計的因果推論(操作変数法、差の差法、固定効果法など)
【お問い合わせ先】
弊社では東京支社第二技術部社会基盤計画課が中心となり社会資本整備の経済分析を行っています。詳細は以下へお問い合わせください。
〔担当技術者〕
- 佐藤啓輔 博士(工学)、技術士(建設-総合技術監理)、技術士(建設-道路)
- 横山楓 技術士(建設-道路)
- 佐々木武志 技術士(建設-道路)
〔連絡先〕
復建調査設計株式会社 東京支社 第二技術部 社会基盤計画課
住所:〒101-0032 東京都千代田区岩本町三丁目8-15
TEL:050-9002-1761(課直通)/ 03-5835-2631(代表)