ミャンマーのサイクロン災害の被災者支援結果報告
国際事業部長 山田義満
弊社では海外業務への取り組みを開始してから20年あまりが経過しておりますが、初めての日本人の社員が駐在する事務所として1997年にヤンゴン事務所を開設いたしました。 事務所を設立後10年以上が経過しましたが、これまで主として地元に密着したコミュニティーレベルの国際協力に重点を置き、小学校の建設、飲料水の給水、地域の道路や橋の建設など、日本の無償援助によるプロジェクトに数多く携わって参りました。 このような多くのプロジェクトを通じて、ミャンマーではたくさんの友人ができ、会社にとりましても重要な海外業務の戦略的拠点となっております。
【関連リンク】
・ ヤンゴン事務所(Myanmar Branch Office)
・ 事業内容 > 海外事業「国際事業」
今回紹介いたします取り組みは、弊社が推進しております多様なCSR(Company Social Responsibility)活動の一環でもあり、また、これまでお世話になったミャンマーの人々への恩返しとしての活動でもあります。 今回は、その活動がサイクロン災害による被災者の方々に対するもので、被災者の方々の一刻も早い自立を支援するための活動です。
以下に、活動の概要を示すとともに、現地で記録した写真も紹介したいと思います。
1.被災者支援概要
ミャンマーは、2008年5月2日~3日にかけて大型のサイクロンに襲われました。その結果、推計で約10万人を超える死者・行方不明者が出ております。 最も被害の大きかったイラワジ管区のデルタ地域では、村落は壊滅状態にあり、生存者は近隣のお寺に身を寄せ、救援物資の届くのを待っている状態が続いておりました。
このような現地の窮状が伝わる中、弊社も1997年以来現地に事務所を置く日系企業として、現地の被災者のために、何らかの人道的支援を目的とした義援金を募集することと致しました。 5月の時点で義援金を募ったところ、会社を始め多くの社員や東京のNGOたて琴および広島のNPOであるEcological Support Asia(ESA)からも寄付が寄せられました。
これらを合わせたお金をもとに、弊社のヤンゴン事務所のローカルスタッフが中心となりボランティアで被災者支援をサポートし、本年6月から9月まで継続的に支援を実施いたしました。
大きな被害を受けたイラワジ管区の村々の中から、管区内の東端に位置する2つの村(ヤンゴンから車で2時間+舟で3時間)に対して以下の支援を実施いたしました。
(1)Tawakani Nyaung Laikon Village
耕運機2台、米5.4トン、米の種6.2ton、家屋47棟
(2)Hnakhaung Chaung Village
耕運機2台、米4.0トン、僧院学校へ文房具1式
支援しました二つの村の概要は、以下のとおりです。
村 名 | 人口(人) | 世帯数(戸) | 犠牲者数(人) | 被災家屋数(軒) | 稲作面積(ha) |
---|---|---|---|---|---|
Tawakani Nyaung Laikon Village トウカニ ニャウン レイゴン 村 |
729 | 175 | 50 | 145 | 407 |
Hnakhaung Chaung Village フナカウン チャウン村 |
1,084 | 275 | 111 | 269 | 730 |
以上のように、被災者の自立支援の観点から、すぐにも必要な住居としての家、食料としての米のほか、今後の生活自立のための稲作に向けての支援として米の種および耕運機を寄贈しました。 耕運機というと高価な燃料も使用するのに少し変だと思うかもしれませんが、現地では人間のみならず、農耕に使用する牛や馬などの家畜も人以上に多数犠牲になっており、米作には耕運機が不可欠の状態でした。
支援した二つの村とも、この12月には収穫を迎えるといううれしい知らせも届いております。
「日本から功徳のある寄付をしてくださった方々にくれぐれもよろしくお伝えください」と、何度も何度もお礼を言われましたので、ここにご報告させていただきます。
子供たちの喜ぶ顔を見たときに本当にうれしくなりました。仏教には「喜捨」という言葉がありますが、「喜捨」とはこういうことをいうのかと改めて感動した次第です。
皆様方のご協力、どうもありがとうございました。
なお、支援は、それぞれの村の僧院の僧侶の協力の下、非常にスムーズに規律を持って行われたことも合わせてお伝えいたします。
2.被災者支援活動状況及び結果
被災者の支援状況の及びその結果は以下の写真に示します。
僧侶とともに村へ
竹製の家屋造り
耕運機の運搬
米は全て人力で運搬