「令和5年度 沿岸域学会論文賞」を受賞しました
令和6年8月2日
復建調査設計株式会社
この度、東京支社第一技術部環境課 課長の三戸勇吾が執筆に関わった共著論文が、「令和5年度沿岸域学会論文賞」を受賞しました。
受賞論文
ブルーカーボンクレジット活用による藻場保全活動の持続可能性
-自治体が関わるクレジットの損益分岐価格についての考察-
[沿岸域学会誌 36 (1), 23-31, 2023-06-30.]
著者
杉村 佳寿(国土交通省国土技術政策総合研究所,現:神戸大学大学院教授)
阿野 貴史(国土交通省関東地方整備局)
三戸 勇吾(復建調査設計株式会社)
岡田 知也(国土交通省国土技術政策総合研究所)
抄録
国連環境計画による報告以降ブルーカーボン(BC)への注目が集まり,日本ではすでに横浜市,福岡市,ジャパンブルーエコノミー技術研究組合の3つのクレジット制度が運用されている。先行事例が少ない中,自治体レベルでBCクレジット活用の検討を進めるに当たり,制度活用のオプションや,それに応じた必要となる手続きや予算については先行研究において明らかになっておらず,このことがBCクレジット活用の躊躇に繋がりかねない。本稿では,福岡市の事例について,必要となる調査やそのための費用からクレジットの損益分岐価格を算出するとともに,ステークホルダーの関係について整理することで,クレジットを活用した藻場保全活動の持続可能性について検討した。その結果,クレジット価格を大きく上回る損益分岐価格となっており,藻場保全活動の持続可能性は福岡市の財政的負担に依存していることが明らかとなった。他の自治体がクレジット活用を目指す場合,取引費用の低減,財政的な負担,高額でのクレジットの取引が持続可能性に繋がるが,いずれの場合も自治体は一定の役割を果たしていく必要がある。
沿岸域学会による受賞理由
実務レベルで損益分岐価格とステークホルダーの実情を詳細に検証し、今後のブルーカーボンクレジット制度の持続的な運用について有用な知見を得ている。その事実と論考は沿岸域研究へ大きく貢献するものであり、論文賞に相応しいと認められた。