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「令和5年度土木学会論文賞」を受賞しました

この度、当社取締役常務執行役員 東京支社長の藤井照久、沿岸・地震防災部地震防災課 課長の金子智之が執筆に関わった共著論文が、「令和5年度土木学会論文賞」を受賞しました。

受賞論文

性能規定に基づく浸透固化処理地盤の地震後変形照査

[土木学会論文集C (地圏工学) Vol.78, No.3, pp.235-250, 2022.]

著者

笠間清伸(九州大学大学院教授),長山達哉(国土交通省港湾局港湾インフラ連携調整官),濱口信彦(新潟県交通政策局副局長),杉村佳寿(神戸大学大学院教授),藤井照久(復建調査設計(株)),金子智之(復建調査設計(株)),善功企(九州大学名誉教授)

抄録

砂質地盤の液状化対策等を目的として浸透固化処理工法により改良された地盤は,薬液の浸透の不均一性や対象地盤の土質の不均質性等の理由により,自然堆積地盤に比べてせん断強度等に空間的な不均質性を有する.本稿では,浸透固化処理工法により液状化対策された空港の滑走路を対象に,このせん断強度の不均質性をランダム場理論で表現し,かつ地震時における地盤の液状化の有無を簡易にモデル化することで,液状化後の過剰間隙水圧の消散に伴う滑走路の変形挙動を確率・統計的に検討した.その結果を用いて,地震後に要求される滑走路の性能指標値である支持力と平坦性に関して新たな性能評価手法を提案した.

Key Words

airport, liquefaction, performance, ground settlement, bearing capacity

土木学会による受賞理由

近年の大規模地震発生時には、港湾、空港、河川堤防、道路盛土等の土木構造物に与える被害原因の一つとして地盤の液状化現象が挙げられる。地盤の液状化対策として、密度増大工法、圧密促進工法、固結工法などが挙げられる。このうち、固結工法は、改良後地盤において弾性係数やせん断強度定数等の地盤定数に大きなばらつきが発生する。本論文では、固化系の液状化対策工法の一つである浸透固化処理工法で改良された空港の滑走路を対象に、自己相関関係を考慮した有限要素メッシュで改良地盤をモデル化し、強度の不均質性をランダム場理論で表現することで、地盤の液状化後の支持力や過剰間隙水圧の消散に伴う滑走路の変形挙動を確率的に検討している。さらに、新たに定義した適合率を用いることにより、設計基準強度以下の改良部分における局所的な液状化の可能性を許容しつつ、空港滑走路の液状化に伴う支持力並びに地震後の平坦性と適合率との相関関係を表すチャートを作成している。本論文は、地盤工学分野での普及が期待される性能規定型設計のモデルケースとして有益であるとともに、ばらつきのある地盤の性能規定による評価手法として広く応用が期待できる、実用性の高い論文である。以上の理由により、本論文は学術面のみならず実務面でも土木工学分野の発展に大きく寄与しており、論文賞に相応しいと認められた。

公益社団法人 土木学会賞 令和5年度受賞一覧 (jsce.or.jp)

  • 笠間教授(中央右)、杉村教授(中央左)、藤井照久(右端)、金子智之(左端)

  • 表彰状

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